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静岡の大地(その10)富士川 2022年3月17日


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 富士川は「ふじかわ」と濁らずに読む。英語標記では普通「FUJIKAWA」が使われる。流域の静岡県や山梨県でも「ふじかわ」と呼ばれる。広辞苑、日本語大辞典、大辞泉などで「ふじがわ」とする表記は誤りであろう。2012年のNHK大河ドラマ『平清盛』では「ふじかわのたたかい」と読んでいたが、NHKのアナウンサーもときどき「ふじがわ」と読むことがある。固有名の発音は注意深く調べないといけない。

 昔から富士川の名が出てくる文章で、交流電源の周波数のことがある。静岡県では、商用電源周波数が富士川を境に、東側では50Hz(東京電力パワーグリッド)、西側では60Hz(中部電力パワーグリッド)となっている。昔は家庭用の電気製品などで、引っ越しするとまず周波数に関する調整を必要とすることがあったので、私などの世代の者は、そのことが鮮明に記憶に残っている。なお、交流電源を使用する東海道新幹線がこの川を横断するが、この川以東でも周波数は60Hzで統一されており、このことも発表されたときには大きな話題になった。

 もう一つ、富士川はフォッサマグナ地域の西の境界線となっている糸魚川-静岡構造線の位置に近いので、その説明にも登場する。この構造線は南の方で富士川にほぼ並行に、川の西側にある。

 富士川水系は長野県、山梨県、静岡県のそれぞれ一部を占めている。富士川の流域は広い。富士川はその源を、長野県と山梨県の境、南アルプス甲斐駒ヶ岳の北西に位置する鋸岳(標高2,685m) に発し、北上したのち流路を南東に変えて、八ヶ岳裾野に横たわる峡谷をなす大断層に沿って流下し、右支川として急流河川の大武川(おおむがわ)、小武川(こむがわ)、御勅使川(みだいがわ)など、また左支川として塩川などを合わせて、甲府盆地西部を南流している。富士川の上流部では山間渓谷と甲府盆地が広がる。富士川と笛吹川に挟まれた天井川の状態となっている。

 一方、秩父山地の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ:標高2,475m)を水源とする笛吹川は、山間狭窄部を経て甲府盆地へ入り、重川、日川および甲府盆地の平地河川などを合わせ、甲府盆地東部を南流し、旧市川大門町(現市川三郷町)において富士川に合流する。その後、富士川は再び山間部へ入り、早川、波木井川(はきいがわ)、芝川などの支川を合わせ、静岡県富士市において駿河湾に注ぐ。河口部に扇状地を形成している。一般的には富士川のうち、笛吹川合流点より上流を釜無川という名で知られている。

 富士川流域は3県にまたがり、流域域面積は3,990㎞、幹川流路延長128㎞を持ち、1次支川には笛吹川、早川、御勅使川など、2次~6次支川には、荒川、平等川、潤井川など、総計552の法河川を有している。

関東農政局管内の水系(左)と富士川水系(右)

富士川流域 国土交通省河川局、富士川水系の流域及び河川の概要(2002年)による。

 流域のかなり大きな部分を占める山梨県と源流だけが一部流れる長野県とは、ともに接する海を持たない県である。それに比べて河口部を占める静岡県は河口の続きの駿河湾に接しており、そこでは多くの海の産業が営まれている。駿河湾名物のサクラエビの漁獲に大きく影響する富士川の水質についての見解にも温度差が生じることになる。

 静岡新聞は、サクラエビに関する問題を長期にわたり熱心に取材して報道を続けており、水産業に関心を持つジャーナリストらで構成する水産ジャーナリストの会(東京都)は、静岡新聞社が連載中の「サクラエビ異変」を2020年度水産ジャーナリスト賞に選んだ。評価が集まったのは静岡県内外の研究者でつくる「サクラエビ再生のための専門家による研究会」と取材班の連携や紙面展開で、同会は「『ソリューション?ジャーナリズム(課題解決型の報道)』の先頭を行く取り組みだ。科学など専門的な事柄も読者に分かりやすくかみ砕いて伝えようとしている姿勢に好感が持てた」と述べている。「サクラエビ異変」は不漁の原因を水産業に関わる人々の問題だけではなく、主産卵場に注ぐ富士川水系における日本軽金属雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂や戦時期から続く水利権問題、採石業者による凝集剤入り汚泥の不法投棄事件など自然とヒトの向き合い方から考察中だ。同会では1994年から水産業の振興?国民的理解を深める優れた作品や活動を顕彰している。

 静岡新聞の「サクラエビ異変 連載アーカイブ」では、第1章 母なる富士川、第2章 「プール制」を問う、第3章 台湾最前線、第4章 海の宝石と共に、第5章 「取り過ぎ説」の裏側、第6章 産地誤認、第7章 「ルビー」の航跡、第8章 川は誰のものか、第9章 減船を考える、第10章 海は誰のものか、第11章 「国策」と富士川、第12章 ダムと生きる、第13章 市場の「裏側」というようにまとめられている。

 富士川の流域内の代表的な都市は、甲府盆地内の甲府市ならびに河口部の静岡市、富士市および沼津市がある。山梨県および静岡県の中東部地区における社会、経済、文化の基盤をなしており、富士川水系の治水、利水、環境についての意義が極めて大きい河川となっている。富士川は、流域の約90%が急峻な山地で、3,000m級の山々に囲まれた日本を代表する急流河川であり、河道は礫河原を呈している。富士川の水利用の歴史は古く、江戸時代から各所で取水堰が建設され、灌漑用水の確保が行われた。さらに、急峻な地形を利用して、明治後期から水力発電による水利用が盛んに行われるようになった。大正時代には、洪水被害のため、荒廃していた支流の笛吹川の廃河川跡で開墾事業が実現した。荒廃した河川跡に道路や水路を整備する工事は、大正15年から昭和8年まで行われた。

 また、昭和のはじめには、同じく支流である釜無川で、江戸時代の開発以来、改修を繰り返しながら使用されていた徳島堰を近代的な頭首工へと改修し、用水幹線水路を整備する徳島堰用水幹線改良事業が行われた。

富士川と他の河川の勾配(建設グラフ2020年2月号より)

 富士川の流域は、約90%が山地であり、我が国第1位の富士山と2位の北岳の高峰を流域内に持つことから、富士川の河床勾配は急で、最上川、球磨川と並んで日本三大急流河川といわれている。また流域内の地質は複雑で脆弱である。これは糸魚川-静岡構造線の大断層が流 域内を縦断しているのに加え、平行、交差する断層がたくさんあることに起因する。流域内 には崩壊地が多く、崩壊した土砂が富士川に流出し、堆積して天井 川を形成している。

西南日本の構造(大鹿村中央構造線博物館による)

 日本列島の基盤は古アジア大陸に海洋プレートが沈み込んでできた「沈み込み帯」で造られている。新生代新第三紀のおよそ2000万年前~1500万年前に、日本海が拡大してアジア大陸から離れた。本州の全体を考える時には、大陸にあった時代に造られた土台を「基盤」、日本海の拡大以降の堆積物を「被覆層」として考えると分かりやすい。その被服層を激しく削り込んで富士川が土砂を駿河湾に運んでいる。

 蒲原の海岸は、海岸から急に深くなる駿河湾に面していて、台風などによる高波の影響を受けやすい。近年は土砂の流入が減っていて海岸浸食が進んでいる。そのため、消波ブロックを設置する計画があり、現在、富士川河口の富士川緑地公園近くの防潮堤の海側で、幅4.6m、高さ4.9mという巨大な消波ブロックが製作されている。この防潮堤は日本一高い17mの富士市海岸防潮堤で、6階建の住宅団地と同じくらいの高さである。しかも富士川河口から沼津市まで約10kmと長い。

高さ17mの防潮堤(左)と巨大な消波ブロック

 富士川の河口から6kmほど入った場所に東名高速道路のサービスエリア?道の駅「富士川楽座」がある。そこから富士山、愛鷹山、富士川河口付近が一望できる。

富士川楽座から見た富士山、愛鷹山(右)と富士川の河口付近

 富士川楽座から富士川に沿ってしばらく北上し、国道52号線に合流する。山梨県に入り、南巨摩郡南部町楮根に「うな富士」という小さな鰻屋があり、そこで昼食をとった。直火で香ばしく焼いた鰻がたっぷり乗った鰻重が最高に美味しかった。

うな富士の店構えと鰻重(右)

 国道52号線の柳島の交差点を西へ入る。道の右手に郵便局が見えてきたら右折する。とにかく高いところを目指して行くと、山梨県指定天然記念物の「本郷の千年サクラ」の前に出る。妙着寺跡である。それは、地上約5メートルから根を地中に下ろしている点は、植物形態学上貴重なもので、幹に空洞があるが支柱に支えられており、「千年」の貫禄がある江戸彼岸である。今回の訪問ではまだ咲いていなかったが、4月の上旬には見事な花を咲かせるだろう。

千年桜

 身延町から52号線を離れて西へ入る。支流の早川に沿ってしばらく走る。山梨県早川町新倉の内河内川左岸に、糸魚川-静岡構造線の逆断層が露出している。標識を頼りに車を止めて、工事用のトラックを除けながら歩くと構造線の露頭の標識がある。断層の西側は先新第三系瀬戸川層群の黒色粘板岩、東側は新第三系中新統の凝灰岩類からなり、西側の古い地層が東側の新しい地層の上にのし上がっている。

糸魚川―静岡構造線の露頭

 早川に沿って戻る途中、南アルプス邑野鳥公園の看板を曲がったところに、農産物、漬物「おばあちゃんたちの店」という看板があり、そこに立ち寄った。トイレを借りて、野菜や大豆、椎茸などを買った。地元で採れたなめこの缶詰、金柑、舞茸、さまざまなジャム、メイプルシロップなどが並んでいて、料金箱が置いてある。

 富士川本流に戻ってまた北へ行き、笛吹川と釜無川が合流する地点に着いた。この地は、甲府盆地の南部に位置し、大小30以上の河川が同時に合流して、山地からの河川と低地河川が複雑に交差する全国でも珍しい地域である。道の駅「富士川」で休憩して山梨の名産品を見た。美味しそうなワインの品揃えも充実していた。帰りはそこから中部横断自動車道、新東名高速道路に乗り継いで一気に静岡市内に戻り、一日の視察を終えた。この続きはさらに上流の地域を訪れる予定である。

帰りの車窓より。右が笛吹川、左が釜無川。

尾池 和夫


参考文献
富士川流域 国土交通省河川局、富士川水系の流域及び河川の概要(2002年)

下記は、大学外のサイトです。

関東農政局西関東土地改良調査管理事務所「1.水系の歴史【水系の歴史と「農」の文化】」
https://www.maff.go.jp/kanto/nouson/sekkei/kokuei/nishikan/rekishi/01.html

静岡新聞 サクラエビ異変 連載アーカイブ
https://www.at-s.com/sp/news/special/sakura_ebi/

大鹿村中央構造線博物館
https://mtl-muse.com/mtl/aboutmtl/tectnic-lines/

静岡新聞「まんが静岡のDNA」の記事でも静岡の大地を紹介しました。
https://www.at-s.com/news/article/featured/culture_life/kenritsudai_column/700397.html?lbl=849

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