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静岡の大地(2) 大井川の七曲りと蓬萊橋 2021年5月12日


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朝日段から北北東を見る

国土地理院の地形図から

大井川の七曲りと蓬萊橋

 大井川の流域のことを知るために、まず川に沿って遡ってみることにした。その第1回は七曲りの地形を俯瞰することである。車で行ける展望台から見るのと地図を辿ることで概観することとした。
 高速道路で移動し、まずは静岡県磐田市富丘にある静岡県立農林環境専門職大学を訪問した。東名高速道路の磐田インターチェンジを出る。大学は、磐田バイパスの豊田東インターチェンジで降りて、県道44号線を南下し、2つ目の信号、見付変電所の信号を右折し、大学の看板を左折して上り坂の突き当りを左折した場所にある。
 鈴木滋彦学長は、袋井市の生まれで、静岡大学農学部林産学科にいた。木材の有効利用、特に木質材料、森林バイオマス、セルロースナノファイバーに関する研究で知られる。静岡大学では伊東幸宏学長のときから国際戦略担当副学長だった。
 新しい建物に木の構造を採用してあり、デザインがいい。図書室を見学し、見晴しのいい明るい学生食堂で美味しいラーメンを食べた。畑を見学すると実習の最中で、農業用昇搬車の運転を実技で学んでいた。日よけの袋を掛けたメロンが、後10日で出荷できる状態だと担当者が説明しながら温室を見せてくれた。農林資料館には昔のさまざまな農器具が詳しく展示されている。古季語の学習ができる。
 この大学の生産環境経営学部准教授、丹羽康夫さんに同行していただき、大学を出て先ず熊野の長藤(ゆやのながふじ)と能舞台を見た。丹羽さんはバイオテクノロジーを専門とし、静岡の在来作物にも詳しい。
 磐田市池田の行興寺である。平安時代末期に平宗盛に仕え、謡曲『熊野(ゆや)』で知られる熊野御前が植えたと伝わる藤である。推定樹齢800年以上と言われ、国の天然記念物に指定されている。熊野御前の命日とされる5月3日には『熊野御前供養祭』が行われる。天竜川を目の前にする磐田市池田地区は、中世に池田の渡しで栄えた宿場町である。毎年、熊野の長藤の開花時期に催される『池田?熊野の長藤まつり』で、能舞台での各種の行事、池田の渡船の再現、屋台の曳き回しなどがあるという。
 熊野の長藤の裏に屋外能楽堂がある。丹羽さんは謡曲や笛の名手でもある。静岡市に住み、毎日この磐田市へ通う。

  川涸るや毎日渡る大井川  丹羽康夫

 島田市から大井川に沿って国道473号線を北上した。大井川の中流部の家山と鵜山の七曲りの地形を概観するためである。この辺りで穿入蛇行による曲流の状態がよく観察できる。家山は、蛇行河川が頸部で切られて廃棄された河道跡にできた町である。野守の池は三日月湖の名残、天王山は曲流の中央部に残された環流丘陵である。
 これらの廃棄河川跡、環流丘陵地形は、家山の上流側である鵜山の七曲りでも認められる。しかし今は幅広い河原を作る堆積域となっており、現在では穿入蛇行は進行していない。
 この地域周辺は今、比較的人口密度が高く、土地改変が進んでいる。野守の池も、三日月湖としての形態は不明瞭となっているが、大地形としての曲流の状態は残されている。鵜山の七曲りを一望できる展望地がないので、地形図や空中写真で見ることが必要である。この付近では、川幅に比して水量が極端に少ない。ダムによる取水によるもので、自然の状態ではない。
 大井川の両岸には道路が整備されている。大井川鉄道も利用できるが、七曲り等を見るためには各駅で下車する必要がある。高度差が少ないので、自転車も使える。接岨峡や寸又川流域の穿入蛇行とあわせて観察することも必要であるが、今回は省略する。
 この付近は、四万十川とともに、日本を代表する穿入蛇行による曲流河川であり、穿入蛇行の各段階の地形が連続して観察できる、たいへん優れた地形の教材である。
 家山駅を過ぎ、家山梅園の近くから西へ坂道を上る。この道も七曲りである。朝日段展望台に着く。そこから北北東を見おろすと鵜山の七曲りである。大きく曲っているのはわかるが、地形が大きく、木や山に隠れる部分も多く、全貌はとても観察できない。
 大井川流域の標高は、南アルプスから駿河湾まで南東に向かって低くなっていくのに対し、地層の構造は北東から南西に向かっている。そのため、川の流れが南西に曲げられる。このようなことが繰り返されて、川は川底を掘り下げ、曲りが強くなり、嵌入蛇行と呼ばれる曲流した川の形を形成する。鵜山の七曲りはその典型で、大井川右岸の高所である朝日段からは大井川の嵌入蛇行(はめ込み蛇行)の一部を見ることができる。

 その日の最後は河口に近い場所にある蓬萊橋を見ることにした。1997年にギネスブックに登録された、長さ897. 4メートルの木造歩道橋である。同行の皆さんは対岸まで渡って戻ってきたが、私は周辺の地形を観察しながら、橋の全貌を遠くから見た。渡っていく人たちが真ん中で立ち止まるのは、床板に「ど真ん中」と書いてあるからだという。

蓬莱橋

 蓬莱橋は、法的には農道に分類され、島田市役所農林課の所掌である。橋脚の構造は鉄筋コンクリート製で、渡し板はすべて木製の有料橋である。歩行者と自転車のみが通行できる。長さの語呂合わせで「厄なしの長生き橋」と言われている。通行幅2.4メートルで、現在も農道として利用されており、貴重な歴史的土地改良施設として県内外に知られている。国内でも数少ない賃取橋(ちんとりばし)である。よく晴れた日には、橋の中ほどから富士山が見える。
 大井川にはたくさんの「大井川橋」がある。上流側より、大井川鐵道大井川本線の大井川第1橋梁から大井川第4橋梁まで。新東名高速道路の大井川橋、国道1号(島田金谷バイパス)の新大井川橋、静岡県道381号島田岡部線の大井川橋、東海道本線の大井川橋梁、東海道新幹線の大井川橋梁、東名高速道路の大井川橋である。これらの中で東海道本線の大井川橋梁と新幹線の大井川橋梁との間に、蓬萊橋、島田大橋(静岡県道34号島田吉田線バイパス)、谷口橋(島田吉田線)、新幹線の大井川橋梁の南側に、はばたき橋(島田吉田線の支線)がある。
 国道381号線の大井川橋は、土木学会選奨土木遺産である。2003年に指定された。橋長1026. 4メートル、17径間のトラス橋で、上下部工ともに当初の優れた姿をよく残しており、戦前では同形式として最大級の道路橋だという。

夏雲や嵌入蛇行展望す  和夫
蓬萊橋渡りきつたる夏帽子

 今回の文章をまとめるために丹羽康夫さんに多くの助言をいただきましたことに深く感謝いたします。


尾池 和夫


下記は、大学外のサイトです。

静岡新聞「まんが静岡のDNA」の記事でも静岡の大地を紹介しました。
https://www.at-s.com/news/article/featured/culture_life/kenritsudai_column/700397.html?lbl=849https:/

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